バンコクダークナイト

フィクション小説です。アフィリエイターとタイ・マフィアの戦いを描く。 ※リアルなタイを表現する上で、性的な内容も扱います。R18指定。

パヤシラ・ダークネス 第3話

彼女を抱えながらディスコの外へ出る。入り口にいた警備員達もこちらを見てクスクスと笑っている。彼女自体はそこまで重くない。このまま抱えて運び、停まっているソンテウに乗せる事も出来るだろう。ただ、テンションはそこまで上がっておらず、少し恥ずかしい。ディスコを出てすぐに彼女を降ろし、歩いてもらう事にした。

ディスコに出た後の彼女は上機嫌で、靴を脱ぎ、歌を歌っている。気に食わない事にはすぐに感情を露わにするが、思い通りになれば機嫌が良くなる。典型的なタイ人女性かもしれない。

ディスコ前の道路沿いに止まっているソンテウへ向かう途中も、抱きつき、熱いキスをしてくる。時折肩に手をかけてドレスの上をはだけようとするので、それを静止しつつソンテウへと向かった。

ディスコからホテルのソンテウは行きの2倍、3倍の値段を平気で吹っかけてくる。「100バーツ」で交渉するも200バーツから値を下げようとしない。別のソンテウに声を掛けようと思ったら、すでに彼女は荷台へと乗車してしまった。

彼女を降ろすのも面倒なので、やむなく200バーツでホテルまで向かってもらうことにした。

ソンテウに乗ってからもピッタリと体を寄せて唇を絡めて来る。それに答えるように唇を差し出していたが、名前をまだ聞いていなかった事にふと気がついた。彼女との会話も値段交渉以外ほとんどしていない。ホテルに着く前に聞いておこうと思った。

キスは続いているが、彼女から顔を離す。突然の事で驚いたようにこちらを見てくる。

「名前は何ていうの?」

「クゥン。あなたは?」

「俺はタイシ」

「タ...エ.シ?」

正確に発音してもらう事なんて望んでいない。タエシで頷くと、再び腕を首に回して唇を見つめてくる。このまま身を預けると理性を失いそうになる。自分を抑えるのに必死だった。

ホテルの前に着いたので荷台から降りる。助手席側の窓が開いているので、そこから手を伸ばし、ソンテウの運転手に200バーツを渡した。

車から離れようとすると、「100バーツ足りないぞ、あと100バーツだ!」と運転手が騒ぎ始めた。移動中、荷台でイチャイチャしていたのがよっぽど気に食わなかったのか、最初から300バーツと言ったつもりだったのかはわからない。

このまま無視してホテルへ入っても良かったが、こういう時はトラブルを起こさないためにも素直に従った方が良いだろう。100バーツ、日本円でただが300円程度だ。

それでも腹が立ったので100バーツを投げるように渡しソンテウを離れた。怒って怒鳴りつけているが、無視してホテルへと向かう。

絡み付いてくる彼女を支えながらホテルへ入る。フロントの兄ちゃんは笑っている。

「ID(身分証)持ってる?」

海外のホテルではID(身分証)のチェックが必須となっている。チェックイン時に1人でも、連れ込む女性がいれなその人のIDもチェックされるのが普通だ。日本人は運転免許証、海外ではパスポートがIDになるが、タイ人の場合これらとは別にIDカードを持っている。

彼女にIDの有無を尋ねてもキスをしようと顔を近づけて来る。更に大きな声で訪ねても、それを止めようとしない。フロントの兄ちゃんも少し笑いながら、「オーケー、オーケー、ノープロブレム」と気を利かせてくれた。タイのホテルスタッフはこういったシチュエーションに慣れており、このように気を利かせてくれる人も多い。IDをフロントに渡さず部屋へと向かう。

ゴーゴーバーやバービア、カラオケ等、お店に所属している子と違い、どこにも属していないフリーの売春婦絡みの犯罪は多い。シャワーを浴びている間に財布から金銭を抜かれたり、睡眠薬を飲ませて昏酔強盗される観光客もいるぐらいだ。ただ、彼女の場合はかなり酔いが回っているのか、正常な判断が出来ていないように思える。足もおぼつかない。

人の目もあるので、部屋まで引きずるように早足で連れて行く事にする。エレベーター内でもベッタリと体を寄せてくる。エレベーター内の防犯カメラでさっきのスタッフにも見られているだろう。ドレスを脱ごうとするので止める。エレベーターを出て、廊下を歩く、部屋番号を確認した後、カードを通して扉を開ける。部屋に着くなり、ドレスを脱いで下着姿になった。やはりスタイルも良かった。

このまま1回行為に及ぼうかと、こちらも上の服を脱いでベッドの上に腰をかける。下着姿になった彼女は「朝まで一緒にいたい。」と甘えてくる。肩を押され、ベッドに倒された。
一緒にいても良いが、朝までとなれば当然値段は上がるだろう。

「いくら?」

「5000バーツ」

日本円で1万6千円程度である。バンコクのフリーの娼婦よりも高い値段を提示され少し悩んだが、彼女の提示額を受け入れる事にした。お金には困っていない。

「OK」

そう言って、ブラジャーの中に手を入れようとすると、「先に払って」と手を掴まれ静止された。

お金の先払いは経験上良い思いをした事がない。ロングで約束しても朝になる前に帰えられたり、サービスが雑になる女が殆どだ。

ただ、この状況下では先払いを拒否するという選択肢は無かった。財布へ手を伸ばし、5000バーツよりも1000バーツ多い6000バーツを出すと彼女の下着の中へと押し込む。1000バーツの追加チップは多過ぎるかもしれないが、それほど彼女は魅力的だった。

下着に入れた札を取り出し、枚数を確認すると「ありがとう」と言って立ち上がった。そのままドレスを手に取り、着始める。

今までの経験上先払いしても、さすがに行為無しに帰る子はいなかった。次の行動へ移るまでベッドに腰を掛けながらしばらく様子を見る事にする。何をするつもりだろう?

彼女はドレスを着ると、そのままドアの方へ向かいドアノブに手をかける。

「まさか帰るわけじゃないよな?」

驚いて思わず声を上げた。

「帰るわ」

そのまさかだった。先ほどの千鳥足が嘘のように、しっかりとした動きで扉を開ける。

「帰るなら、金を返せ!」

「嫌よ、これは私のお金よ!」

そのまま出て行こうとするので、立ち上がりドアが閉まる前に部屋を飛び出し腕を掴む。部屋へ引きずり込んで、ポケットに入れた6000バーツを取り出そうと、手を伸ばす。お金を取られないように手で抑え、もう片手で激しく抵抗し悲鳴を上げた。

「助けて!助けて!」

大声で悲鳴を上げ始めた。恐らく周りの部屋にも聞こえているだろう。まさかここまで凶変するとは思わなかった。

「わかった!わかった!金は取らない」

「私のお金よ!触らないで!警察を呼ぶわよ!」「警察には私の知り合いがたくさんいるわ!」

この状況で警察を呼ばれたら、明らかにこちらが不利だ。男女の性質の違いの他、タイ語で詳しく状況の説明出来る彼女が嘘を付いて事件をでっち上げるかもしれない。

本当に知り合いの警察が来た場合は尚更だろう。下手をすれば警察署に勾留されるかもしれない。

「最悪だ」

フリーの娼婦を買うリスクは前々から理解していたが、初めてそれを経験することになった。

 

つづく・・・